小清水町観光情報 特集 小清水原生花園を復活させる「火入れ」

小清水原生花園を復活させる「火入れ」

小清水原生花園の火入れ


小清水町は毎年5月初旬の早朝に、小清水原生花園において植生回復のための火入れ(野焼き)を実施しています。
それはなぜなのか、火入れの風景とともにご紹介いたします。
 

小清水原生花園

小清水原生花園は網走国定公園内にあり、2004年(平成16年)には次の世代に引き継ぎたい北海道の宝物として、北海道遺産にも登録されています。毎年夏にはクロユリ、ハマナス、エゾスカシユリ、エゾキスゲなど色とりどりの花々が咲き、小清水町の代表的な観光地となっています。

黄色い花をつけるエゾキスゲ
エゾキスゲ

しかし、秋から春先にかけて枯れ草や牧草などが多く、そのままにしておくと花に必要な養分や日光を遮ってしまう恐れがあります。そこで、それらの植物を焼いて、野生の花々が咲く環境を整えるのが火入れの役割です。

火入れによって枯草や牧草と共に、花まで焼いてしまうのではと思われるかもしれませんが、火入れを行う5月上旬に地表に出ている植物は牧草や枯草のみであるため、花々への影響はほとんどありません。
 
鮮やかなオレンジ色のエゾスカシユリ
エゾスカシユリ

小清水原生花園の歴史


小清水原生花園の歴史を遡ってみると、1960年代までは、馬や牛の放牧による牧草利用や、釧網線の蒸気機関車から飛んだ火の粉によって発生する野火によって、牧草などが生い茂ることはありませんでした。
しかし、1980年ごろに蒸気機関車が廃止され、放牧もされなくなると、利用されなくなった牧草類が繁茂しはじめ、かつて美しい花々に覆われていた小清水原生花園の姿はほとんど見られなくなってしまいました。

そこで花々に覆われた原生花園の姿を取り戻すべく、1990年に北海道大学の研究チームに調査を依頼し、実証実験を経て、1993年に植生回復のための火入れが始まったのです。
 

原生花園の火入れ


では実際にどのように火入れが行われているのか、ご紹介いたします。

火入れ作業は小清水町やオホーツク総合振興局、網走南部森林管理署、JR北海道などで構成されている「小清水原生花園風景回復対策協議会」によって行われます。

花が集中的に咲く66ヘクタールのエリアを4区画に分け、毎年1区画ずつ火入れを行うことで、4~5年周期でエリア全体に火入れが行われるようになっています。

この火入れは例年15組ほどのチームに分かれて実施されます。
1チームの構成は3人で、ガスバーナーで火をつけていく「火付け班」と、ジェットシューターを背負って散水や火入れ後の消火をする「シューター班」、火付け班の補助とスコップで消火補助をする「スコップ班」となっています。

まずは線路の枕木や電柱に入念に散水するとともに、電柱の周りや火入れ区画の両脇の草を刈って防火帯をつくり、延焼や飛び火を防ぎます。

午前5時00分、合図をきっかけに国道側から線路までの火入れを開始します。
背の高い枯草が黒い灰になっていく様子は一瞬で、火入れを開始した途端、その熱さに汗ばむほど火の勢いは強く燃え広がります。
 
写真
火付け班の作業の様子

午前5時25分、消火の合図をきっかけにシューター班が消火作業を開始します。
よく燃え広がった火は線路のぎりぎりまで牧草や枯草を焼くことができました。
電柱や枕木に延焼しないか、それぞれが持ち場を確認し、全区域の消火が確認されるまでは、待機します。

午前5時50分、合図をきっかけに線路から海側の火入れを開始します。こちらもあっという間に燃え広がります。
 
2回目の火入れの写真火入れをして煙が立ち上っている写真







午前6時30分、火入れ終了の合図とともに消火活動に移ります。こちらも燃え残り、消し忘れがないか入念に確認し、始発電車が通過するまで海側で待機します。
 
写真
火入れ後の原生花園

JR職員が安全を確認し、始発電車の通過を見送ると同時に、国道の通行規制も解除されます。
午前7時30分、すべての作業員が戻ってきたことを確認し、作業終了です。

夕日が沈む原生花園

このように、様々な関係機関の協力と連携によって、原生花園の美しい花々は保たれています。

花の見ごろは例年6月中旬から7月下旬ごろ。小清水原生花園に咲き誇る綺麗な花々を、ぜひご覧になってください。
 

お問い合わせ

産業課商工観光係
電話:0152-62-4481

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